映画『日本と再生 光と風のギガワット作戦』

福島原発事故であぶり出された原発利権構造。日本政府は執拗に原子力発電の復活を目論んでいる。すべての原発を止めようとする脱原発弁護士・河合弘之は「原発をなくしても、自然エネルギーで地域も経済も再生できる」と信じ、世界の自然エネルギーの実情を知る旅に出た。同道するのは反骨の環境学者・飯田哲也。ドイツ、デンマーク、中国、アメリカ etc.。電力輸出が増大するドイツ!米国防総省が進める自然エネルギー計画!原発推進国と思われていた中国の絶対的自然エネルギー隆盛!クリーンで安価なエネルギーで世界はもう動いている。日本も遅れをとってはならない!

東京高等裁判所でも上映された大ヒット作『日本と原発』の監督が活写する自然エネルギーの大いなる世界!

映画『日本と再生 光と風のギガワット作戦』

監督:河合弘之
企画・監修:飯田哲也
音楽:新垣隆
エンディングテーマ:坂本龍一
制作・配給:Kプロジェクト
制作年:2017年
劇場公開:渋谷ユーロスペース、横浜シネマリン(2017年2月25日〜3月10日)
公式Webサイト: http://www.nihontogenpatsu.com

イントロダクション

「原発が危険で高くて不要であることはよく分かった。でも原発をなくしたあとのエネルギーはどうするんだ?」

20年にわたって原発の危険を訴え、全国で原発差し止め訴訟を繰り広げてきた弁護士・河合弘之は、福島第一原発事故以降は、より一層、その活動に力を注いだ。国民に原発問題を理解してもらうために、自ら映画監督となり、原発問題映画『日本と原発』『日本と原発 4年後』まで制作した。

複雑な原発問題の全体像を分かりやすく描いた原発問題映画は手応えがあった。原発差し止め訴訟でも裁判所で上映をして、いくつか勝訴も勝ち取った。原発問題の理解が進んだのは良いが、映画上映会に合わせて講演会を日本各地で行うと、河合はそのたびに冒頭の問いに直面した。

河合は、再び思い立った。

「原発をなくしたあと、自然エネルギーで十分にやっていけることが分かる映画を作ろう!」

河合は、20年来自然エネルギーならこの人と信頼してきた飯田哲也を仲間に招き、河合と飯田の二人の旅が始まった。 二人は、北から南、西から東へと、日本と世界を駆け巡った。自然エネルギーの歴史を切り拓いたパイオニアを訪ね歩き、自然エネルギーの最前線で挑戦する人々を訪ね歩き、本作『日本と再生 光と風のギガワット作戦』を創りあげた。

本作は、今この瞬間に起きている世界のダイナミックな変化を描いている。自然エネルギーが実用化していることはもちろん、これほどまでに急速に普及し、大きな変化を起こしている現実を目の当たりにした河合は、大いに驚いた。

当然だろう。「人類史第四の革命」とさえ呼ばれる、ダイナミックかつ世界史的なエネルギー転換である。日本ではほとんど知られていない。 それどころか、原発再稼働に固執する日本は、その大きな歴史的な変化に逆らい「逆走」している。

河合は、その変化に背を向ける日本に、危機感すら覚えた。 幸い、歴史は周縁から地域から変わるという教訓のとおり、日本各地でさまざまな挑戦や希望の芽も始まりつつある。エネルギー転換の歴史を「逆走」している日本だが、今ならまだ間に合う。自然エネルギーへの変化は避けられないだけでなく、豊かな日本の未来を約束してくれるのだから。


監督の言葉:河合弘之(弁護士)

私は第一作『日本と原発 私たちは原発で幸せですか』、その改訂版『日本と原発 4年後』で日本の原発の問題点をすべて描き尽くしました。それは約1800回自主上映され、約10万人の人々が観てくれました。そして多くの方々から「原発をやめなければならないのは分かったけど、電気はどうしたらいいの?」と質問を受けました。その答えは「自然エネルギーと省エネしかない」です。それを描くためにこの『日本と再生 光と風のギガワット作戦』を制作しました。

日本では「自然エネルギーは天気まかせで不安定」「自然エネルギーは高くつく」「ドイツの脱原発、自然エネルギー推進はフランスから原発電気を買っているからできるインチキ」等々の悪口が横行しています。それを実証的に論破するのもこの映画の目的です。日本の経済界は自然エネルギーを馬鹿にして「あんなものは割に合わない」と考えています。しかし、自然エネルギー発電は実際には儲かるのです。そのことを経済人にわかってもらうことも、この映画の大きな目的です。

世界は「脱CO2、その手段は自然エネルギー」という大きな潮流の中にあります。世界の自然エネルギーの発電量は、世界の原発の発電量の約2倍以上になっています。その潮流は急発展するIoT、AIとの相乗作用で急加速しています。私はこの映画を作っていく過程で「自然エネルギーは単に原発の代替え物ではなく、壮大で美しく安全で豊かな新しい社会への入口なのだ」と気が付きました。この映画が、日本のエネルギー政策や電気事業の流れの転換のきっかけになって欲しいと心から願っています。


映画評:津田大介(ジャーナリスト/メディア・アクティビスト)

映画監督・河合弘之の三作目にして最高傑作が誕生した。

『日本と原発』『日本と原発 4年後』に続いて題材として選ばれたのは再生可能エネルギー。世界中で同時進行的に起きている「再エネ革命」の最前線を、環境学者・飯田哲也と共に訪ね歩くことで明らかにしている。

しかし、なぜ再生可能エネルギーだったのだろうか。河合は今作の冒頭でその動機を語っている。「脱原発と自然エネルギーはコインの裏表。両方同時にやらなきゃいけないことがよくわかった」

「コインの裏表」とはよく言ったもので、前2作と今作は好対照をなしている。怒りや悲しみに駆動された前者と、楽しさや喜びに満ちあふれている後者。喜怒哀楽それぞれの観点からエネルギー問題を捉えることは、やがて「人はどう生きるべきか?」という哲学の問題に行き着く。今作に登場するエイモリー・ロビンスは、その一つの答えを出していると言えるだろう。いくつかある今作のハイライトシーンの一つだ。

前2作でも見られたわかりやすい解説も健在。河合自らホワイトボードを使って原発推進派が喧伝する「デマ」を一つ一つ潰して行くのだが、今作では遊び心も加わっており爆笑必至。演出面でも確実に進化している。

特筆すべきはドキュメンタリー映画としての構成力の高さとスケールの大きさだ。物語中盤を過ぎてからの怒濤の展開は、SF映画のようでもある。ドイツ、アメリカ、デンマーク、中国……世界各国あちこち飛び回り、桃源郷のような風景を「現実の映像」として見せることで、我々に明るい未来を指し示す ─ もはや河合の映画監督としての才能は疑うべくもない。

米海軍・海兵隊エネルギー・環境安全補佐官のデニス・マッギンが語るように、我々は今まさに再生可能エネルギーの爆発的進化というエネルギー革命の始まりにいる。そしてその速度を上げたのは、2011年の福島第一原発事故である。皮肉なことに、日本は世界中で再エネ革命を起こすきっかけを作りながら、原発を生き残らせるためのエネルギー政策を選んだのだ。「お人好し」にも程がある。

原発によって故郷を奪われた飯舘村・飯舘電力の小林稔社長のコメントも印象深かった。

「(太陽光発電所を地域に作ることで)仕事を残しておけば、いずれ次の世代が何か(飯舘村復興の道筋を)考えてやってくれるんじゃないかと」

これを聞いた瞬間、なぜ河合が今作のタイトルを『日本と再生』にしたのか理解できた。「再生」は「再生可能エネルギー」と「地域(日本)再生」のダブルミーニングなのだ。ただそこにあるだけで、地域が再生する未来が見える。それが再生可能エネルギーなのだ。

『第4の革命』(カール- A・フェヒナー監督、2010年)というドキュメンタリー映画がある。今作とまったく同じテーマで撮影されたドイツ人監督による名作だ。今作と併せて鑑賞する(配給元ユナイテッド・ピープルのサイトでDVDが発売中)ことで、この6年で再エネがどれだけ進化したのか、再エネのポテンシャルがどれだけあるのか理解することができるだろう。

本当の「革命」はこれから起きる。「逆襲監督」の闘いはまだまだ始まったばかりだ ─ 。


映画の感想:小川仁志(哲学者)

疑うことができる強靭な「知」、変わることができる強靭な「心」

『日本と再生 光と風のギガワット作戦』を観て、ようやく謎が解けた。なぜ日本だけが自然エネルギーに転換できないのかという謎だ。それは、日本人には二つの大事な性質が欠けているからにほかならない。一つは物事を疑うための性質。もう一つは変わるための勇気。

日本人は、自然エネルギーが不安定で非効率だという固定観念をどうしても疑うことができない。ヨーロッパの転換が早かったのは、やはり哲学の伝統のおかげで、固定観念を疑うことに慣れていたからではないだろうか。

しかし、仮に疑うことができて、真実を知ったとしても、日本人にはなかなか大きな転換をする勇気がない。映画の中でも、コペンハーゲンの技術・環境市長モーテン・カベル氏が言っていたが、変わるためには勇敢になる必要があるのだ。

実際、映画に登場する自然エネルギーへの転換に成功した日本人は、皆疑うことができる強靭な「知」と、変わることができる強靭な「心」を持ちそなえていたように思われる。自然エネルギーにかかわる人のことをあたかもプリミティブであるかのように揶揄する声があるが、それはとんでもない間違いであることがこの映画を観ればわかるだろう。彼らは原始的だから自然エネルギーに転換したのではなく、より賢いから転換することができたのである。

自然エネルギーのメカニズムは賢くないと理解できない。プリミティブではなくむしろスマートなのだ。その意味で、自然エネルギーは人間の知あるいは技術と、自然のリソースが史上初めて弁証法的に止揚を成し遂げた成果であるということができる。

賢い人たちが安易に原発に頼らず、懸命に知を働かせた結果、自然の女神はようやく私たち人類に光と風の手を差し伸べようとしてくれているのだ。その手を握るのか、それとも背を向けるのか、それは私たちの「知」と「心」の強度に委ねられている。


メッセージ:SUGIZO(LUNA SEA, X JAPAN, Violet UK)

エネルギー革命真っ只中の現在、この作品を観て確信する。

未来は希望に満ちている。
僕達が勇気と行動力を持ってそれを選択することができれば。

全ての日本人にこの映画を観てもらいたい。
そう、全霊で伝えたい。


劇場公開&自主上映会について

映画『日本と再生 光と風のギガワット作戦』は、2017年2月25日〜3月10日 渋谷ユーロスペース・横浜シネマリンにて劇場公開いたします(初日舞台挨拶があります)。詳細については公式Webサイトをご参照下さい。

また、2017年3月11日以降は、自主上映会の開催が可能となります。詳細についてはこちらをご参照下さい(上映料金の半額支援が可能な場合があります)。

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