RE-powering Europe — 自然エネルギーはどのように大陸を結束させることができるのか?

EUへの懐疑、ナショナリズム、ポピュリズムの時代にあって、欧州統合を志向する人々は危機の打撃を受けた大陸を再び結束させる方法を喫緊に求めています。自然エネルギーはその回答となるでしょう。

エネルギーは常に各国政府の戦略的要因でした。エネルギーインフラや資源埋蔵量のコントロールを手に入れることは、国力や権力を示すことと同等でした。EUの前身である欧州石炭鉄鉱共同体(European Coal and Steel Community)は、エネルギーをその中心に据えたものでした。2つのきわめて重要な資源のための共通市場をつくることで、戦後、欧州はより密接に手を結びました。しかし、大陸は経済を成長させるため、常にエネルギーの輸入に依存してきました。EU加盟28ヶ国の総エネルギー消費の半分以上は輸入されたものであり、一日あたり10億ユーロのコストがかかっています。また、エネルギーはEUの総輸入の20%以上を構成しています。

現在、EUが再考している将来において、私たちの社会を支えるエネルギーはどこからやって来るのか、また、それはしかるべき雇用を創出し、産業の競争力を維持することができるのかという点はきわめて重要です。EUへの懐疑、ナショナリズム、ポピュリズムの時代にあって、欧州統合を志向する人々は危機の打撃を受けた大陸を再び結束させる方法を喫緊に求めています。自然エネルギーはその回答となるでしょう。

欧州議会議員でドイツ社会民主党のジョー・ライネン氏は、世界未来評議会がハインリッヒ・ベル財団と共催したワークショップで次のように述べています:

「新しいエネルギーの世界では、国境がこれまでと同じ意味をもつことはなくなるでしょう」

実際に、自然エネルギーは、EUが再び市民の身近なところで民主的な参加を取り戻し、根源的な価値を強化する機会をもたらしています。

なぜ私がこのことに確信をもっているのか、現実世界の事例を見ることでよく理解できるでしょう:

オランダのエメン市(Gemeente Emmen)と、ドイツ国境を越えた近隣地区ハーレン(Haren)は、国境を横断して共同の地域分散型自然エネルギーシステムを構築しています。エメン市のメリンダ・ルーンストラ・ブツォガニー氏は次のように述べます:

「私たちは、炭素中立で力強い地域経済をつくるため、ドイツの仲間たちと一緒に取り組みたいと考えています。」

そのプロジェクトは「Smart Energy Region Emmen Haren(SEREH)」と呼ばれています。ドイツ側のハーレンはすでに自然エネルギー電力147%で自給している一方、オランダ側のエメンはわずか3%(主に太陽光発電)しかありません。ハーレンの余剰電力はすでに系統で問題となっており、ドイツ国内の他の地域へ送電するには膨大な系統拡張コストがかかることになってしまいます。

その一方で、国境を越えたエメンの側では、2050年までにCO2フリーになる目標を設定しているため、ハーレンからの余剰電力に対する大きな需要があります。しかし、ドイツからオランダへの高圧送電線は、国同士の規制の競合により負の価格でしか利用できず、高い課税や相互連系コストがかかってしまいます。

現在、SEREHはエメンとハーレンの間で中圧送電系統(配電網レベル)をつくることで、いくつかのメリットを享受しようと取り組んでいます:(a)市民によるエネルギー資源利用と地域への利益還元、(b)より安い送電コスト、(c)系統を拡張する必要がなくなる、(d)新たなビジネスの創出、などのメリットです。

これを実現するため、双方の自治体は、現在競合している国同士の法律を調和させ、配電システム運営者が国境を越えて協働するように、EUへと働きかけています。これは、既存の規制の壁を克服し、たしかな利益を市民に創り出すため、地域と国と欧州の機関が協働しなければならないことを意味します。

Rooftop view of Ghent in Belgium

これと同様のことを、ベルギー・ヘント市のヒェーレ・ドーセ氏が述べています。彼女は、技術的な解決策を導入したり、人々に省エネや賢いエネルギー利用をコーチングすることによって、都市自治体が特定の地区での自然エネルギー導入を支援するイニシアティブ「Burzaame Stroom」プロジェクトにかかわっています。特に重点が置かれているのは低所得世帯の統合です — この問題はEUの他の自治体にとっても同様に重要な課題です。

「域内で生み出される自然エネルギーの割合(家庭部門の総消費に占める割合)を2011年の7.5%から2019までに15%へと倍増させるという政治的目標は、市民を巻き込み、人々がこの転換にオーナーシップをもってかかわらないかぎり達成できません。地方自治体やEUがこの転換を促進することで、動きはもっと速くなるのです。」

人々に権限を移す政策へ

良いお知らせとして、今後数ヶ月にわたってこのような動きを実現させるためのすばらしい機会があります。現在、欧州議会と理事会は、EUの新たな法律として「すべての欧州のためのクリーンエネルギー(Clean Energy for All Europeans)」パッケージ(別名「ウィンターパッケージ」)の議論を進めています。この政策パッケージは、市民が自然エネルギーの利益を得るかどうか、また、コミュニティが国境を越えて協働するかどうかにかかわらず、EUが膨大な自然エネルギーのポテンシャルを利用する上で、決定的に大きな影響を与えることになります。私のこれまでの経験から、こうした政策パッケージには以下の3つの要素を盛り込む必要があります:

  • 共通のビジョンと効率的な資源分配を提供するため、EUは自然エネルギー100%を目標として設定すること
  • 市民や都市、コミュニティが積極的に新たなエネルギーシステムを構築できるよう彼らに権限を与えること
  • 地域や自治体、都市が境界を越えて支え合うこと

私たちは、平和や連帯、そして、安定を手に入れる上でエネルギーが決定的に重要な役割を果たすことを歴史から学んでいます!実際のところ、自然エネルギーこそが、欧州で加盟各国を再びつなぎ、人々に権限を移し、大陸を結束させるのです。あなたの国の政府や欧州議会の代表者が、自然エネルギー100%によって結束する欧州に向けた動きの一員となっているか、確認しておきましょう。

元記事:The Beam Magazine “RE-powering Europe How renewables can unite the continent?” by Anna Leidreiter, April 18, 2017. ISEPによる翻訳