ドイツ医師会が風力発電の健康への影響を調査へ

最近の会議で公表されたドイツ連邦医師会の文書について、オーストラリアとフランスが取り上げています。聞いたところでは、ドイツの医者が風力発電の健康への影響について憂慮している、と主張されていたそうです。それではなぜドイツメディアはこのニュースを取り上げないのでしょうか。

このニュースはすでにフランスオーストラリアでは取り上げられています。フランスでは、「ドイツの医者が風力発電の完全な停止を求めている」と伝えられています。オーストラリアの記事の見出しは「ドイツの医者が風車の建設中止を要請へ」となっています。

こうした出来事がドイツでも同様に報告されていると思われることでしょう。しかし、それは間違いです。今朝、Google Newsで見つけることが出来たのは、ドイツ医師会が風車の健康への影響を調査中である、という報告が1つのみでした。この記事はシュヴァルツヴァルダーボーテ(from Schwarzwälder Bote)という読者も多くない黒い森の小さなローカル新聞紙のものでした。件の記事は、ある医者が最近新しい風力発電所建設のために開催されたイベントの場で風車が発する超低周波の影響について話したことに合わせて、「ドイツ医師会も現在調査中である」と述べただけでした。

ドイツ医師会が何を調査しているかについては、3月12〜15日にかけて開催された第118回会議の決議リストに書かれてあります(ドイツ語PDF)。残念ながら、この文書は巻頭に all rights are reserved, including for translations と記されているため、私はジャーナリストの権利を行使して、概要を翻訳することしかできません。

353ページに、ある医師が医師会の執行役員会に対して、風力発電の健康影響について、「より具体的には、低周波と超低周波について」調査するよう、「さらなるコンサルテーション」を促したことが記されており、その理由として「この問題について「独立機関が行った科学的な調査」が1つもないことが挙げられています。この後半の部分は、この医者が世界中の風力発電に反対する論者が示してきたすべての証拠は科学的ではないと信じているかのように映りますが、文書の残りの部分の表現は風力発電に対してより批判的なように感じられます:「したがって、この騒音レベルが人体の健康に悪影響がないことの証明はなされていない」。この文書はまた、「構造に起因する騒音は、非常に背の高いタワーの揺れによる場合もあり、ローターブレードが回転していない時も発生しうる」とあり、さらにこの「構造に起因する騒音(ドイツ語ではKörperschall)」は「大した低減もなく(中略)10km以上先の居住区に届くこともある」と記しています。

そこで私はドイツ医師会にコンタクトし、以下の質問をしてみました:

      • この問題について検証するという決議の採択にあたり、ドイツ医師会は調査の実施に同意したにすぎないのか、それともこの文書は関心の度合いを示しているのでしょうか。
      • ドイツ医師会は、風力発電の健康影響についてなんらかの立場をとっており、この問題について意見を公表しているのでしょうか、もしくは過去に調査を実施したことがあるのでしょうか。
      • この決議はある医者個人の成果にすぎないのか、それとも医師会にはこの調査を支持する医者のグループが存在するのでしょうか。
      • この文書の中に決議が収められるための要件はなんでしょうか(多数決など)。今までに記載が拒否された決議はあるのでしょうか。

医師会からの返答があれば、新しいエントリーで続報をお伝えします。早く返答がくるといいですね。この決議には、8人の医師によって提案された核兵器についての調査、3人の医師によって提出された化石燃料関連からの投資引き上げについての調査に関する決議も注目に値します。風力の健康影響に関する調査を求めたのは1人でしたが。


風力に関するドイツの医学的調査の続報

ドイツ医師会から風力の健康影響に関する調査についての決議に関して説明を求める質問状に対する回答がありました。

2週間前、私たちは報告書(すべてドイツ国外での)のレビューについて書きました。ドイツ医師会による風車の健康影響に関する最近の決議についてです。この報告書が公表されてからドイツ語での追加の報告書は1つもなかったことは注目に値します。

理由は単純にほとんどニュースにするに値しないということでした。それではドイツ医師会の広報担当から送られてきた回答を紹介します(本文はドイツ語でした):

決議は、ドイツ医師会の執行役員会での絶対多数によって採択されました。したがって、これは会議の決議ではありませんが、まずは執行役員会でさらにコンサルテーションを経ています。決議のタイトルが示すように、決議の第一の目的は、風車の健康影響の有無に対する調査を行うことです。

私は、国際的な風力に反対する活動家が、この話題に飛びつき、本来の意味よりも大げさに騒いだにすぎないと判断しました。まとめれば、1人の医師が風車の健康影響についてのさらなる調査が必要かどうかの問題を提起し、それがドイツ医師会の執行役員会によって承認されたということです。ドイツの医師は、風力発電所の有害な健康影響を発見したわけでも、風力発電所の停止を求めたわけでもありませんでした。

風力に反対する活動家は執拗で、私も前回の報告書に関するEメールを受け取っていました。その中の1人は私にどうして健康影響を調査したドイツの医師に反対するのかと尋ねられました、私は記事の中で自身のスタンスを明らかにしていません。私は調査自体をどうとも思っていません。実際、私自身も風車が発する騒音を録音しようと一生懸命努力したこともあります(下の映像を御覧ください)。私が唯一気にすることは、すでに決着がついた問題について不要な議論を続けることです。言い換えれば、ドイツ医師会が風力発電を続けても良いと判断した暁には、皆がその結果を受け入れることを期待しているのです。この場合の事実の歪曲や私の記事に対する反応から判断して、風力に反対する人たちが科学的な成果を受け入れるとは思えません。

私は、決議が「構造に起因する騒音」や「騒音が大した低減もなく(中略)10km以上先の居住区に届くこともある」という話を非難していることを伝えただけです。私自身もビデオの中の風車から5kmと離れていないところに住んでいます。私の隣人たちからもなにかしらの影響について苦情を聞いたことはありません。それよりも、電車、自動車、工事現場など、それ以外の騒音のほうが問題です。実際、最近ベルリンの友人の市民農園でバーベキューをした時も、近くにあった風車の騒音の話になりました。その時の一人が、風車から500m離れたところでも「騒音が聞こえる」と言っていました。私たちが座っているところが道路から200mしか離れておらず、自動車の音が聞こえると言ったところ、彼女は「あなたが言うまで私は気づきもしなかったわ」と答えました。

元記事:Renewables International, “German Medical Association looks into health effects of wind power”(2015年5月26日)および ”Update on German medical investigation of wind power”(2015年6月6日)ISEPによる翻訳