ニュージーランドの風力エネルギー

2012年、ニュージーランドは、化石燃料による火力発電でバランスをとり、全発電量の約72%を再生可能エネルギーで供給しました。世界風力エネルギー協会(WWEA)による年鑑『Wind Energy International 2014/2015』には、ニュージーランドの市場と計画中のプロジェクトが記載されています。

写真:WWEA

国データ

面積(合計):268,680㎢
人口:439万人
人口密度:16人/㎢

電力エネルギー部門の概要

全発電量 42, 799 GWh

2012年、ニュージーランドは、化石燃料による火力発電がバランスをとり、全発電量の約72%を再生可能エネルギーで供給しました。再生可能エネルギーの割合がこのように高いのは、水力発電の貯水区域で降り続いた雨と、風力と地熱による発電量が増加したためで、これにより発電に使う石炭とガスの消費量は減少しました。ニュージーランドでは、風力と地熱エネルギーが再生可能エネルギーの将来にわたる主要な成長分野として見込まれています。

エネルギー源 年間総発電量における割合 (%)
水力 52.7
ガス 19.7
地熱 13.7
石炭 7.8
風力 4.7
その他 (木材/バイオガス/排熱/石油) 0.97

ニュージーランドには十分に競争性のある発電と小売の市場があります(ニュージーランドの風力発電所は補助金を使わずに他の発電方法との競争に勝利しました)。ニュージーランドの発電容量の大半(約92%)は5つの電力会社が所有し、運営しています。ニュージーランドの市場規則は垂直統合を認めているため、これらの電力会社が小売市場も支配しています。ニュージーランド電力市場の規制緩和は1987年から1999年の間にいくつかの段階を経て起こりました。ビジネス・技術革新・雇用省は電力部門の中でも特に規制の枠組みとガバナンスに関して政策を開発し、実行しました。また、同省は競争の課題や電力価格を含む市場実績の監視もおこないます。電力公社(The Electricity Authority)は消費者の長期的な利益のために、競争の推進、信頼性のある供給、電力市場の効果的な運営をおこなう役割を担っています。

風力エネルギー部門の概要

風力エネルギーの設備容量(2011年末時点):623 MW
電力生産量: ~ 2,025 GWh.
風力エネルギーの市場シェア:4.7 %

2012年末の時点でニュージーランドには16ヵ所の風力発電所が稼働しており、その総設備容量は623MWで、これはニュージーランド国内電力のおよそ4.7%を発電していました。風力発電はニュージーランドの電力源として過去10年で毎年平均30%という急成長をしています。ニュージーランドの最初の大型風力発電はウェリントンで1993年に建設され、その容量は225kWでした。2011年12月までに風力発電の総設備容量は623MWを超えました。ニュージーランドで最初のウィンドファームであるHau Nuiは1997年に稼働を開始しました。今日、その総設備容量は8.65 MWとなっています。ニュージーランド最大の風力発電所はTararua ウィンド ファームです。プロジェクトのステージ3では2007年に1台当たりの定格出力が3MW の追加風車31基と共に作動し、総設備容量は161MWとなりました。2007年6月にサウスアイランドの最初の風力発電所が稼働を開始し、総設備容量は58MWとなり、2009年にはウェリントンに近いウェストウィンドで143MWのプロジェクトが続きました。2010年には新たに75MWの風力発電がすべて稼働を開始しました。2011年4月までには64MW Te Uku ウィンド ファームがすべて操業し、同じく2011年4月にはCluthaの地域配電網に組み込まれた36MWのMahinerangiウィンドファームも連系しました。

風力発電の所有はニュージーランドの発電・小売り企業による支配が続いています。しかし、いくつかの独立系および国際的な風力発電事業者がニュージーランドでプロジェクトの実施や調査をしています。

市場規模が比較的小さく、大型の風力発電機の製造に必要な投資を維持できないため、ニュージーランドに設置される風力発電機は一般的に輸入されています。ニュージーランドにはWindflow Technology Ltd.という風力発電機を製造する国内企業が1社あり、98機の“Windflow 500” 風力発電機(各0.5MW) が現在稼働しています。Windflow Technologyはイギリス市場への風力発電機の輸出を開始し、クラス2風力発電機を米国企業である General Dynamics SATCOM Technologies と共同で開発しています。

ニュージーランド風力エネルギー協会(NZWEA)は65以上の企業が所属する会員制の業界団体であり、風力発電の開発が信頼性と持続性をもち、クリーンで商業的に現実性のあるエネルギー源となるための活動をおこなっています。会員には発電会社、事業開発企業、送電会社、風力発電機製造企業、コンサルティング会社、研究者、弁護士事務所が含まれています。

風力エネルギー資源情報

ニュージーランドは「轟音の40度(roaring forties)」地帯に位置するため、風力発電は並外れた風力エネルギー資源を得ることができ、平均設備利用率が40%にも上る記録を出しています。

「国立水・大気圏研究所 (NIWA: National Institute of Water and Atmospheric Research) 」は国の風力資源データをEnergyScapeTMアセスメントの一部として公開しています(こちらを参照)。

「地域再生可能エネルギーアセスメント(Regional Renewable Energy Assessments)」も13の地域について情報を提供しています(こちらを参照)。これらのアセスメントはニュージーランドに第一級の風力エネルギーポテンシャルがあることを表しており、より詳細な調査では開発に適した追加的資源がある可能性が高いことが明らかになる見込みです。

ニュージーランド政府から委託された調査では追加の再生可能エネルギーによる発電の可能性を調査しています。この調査から、ニュージーランドの風力資源が潜在的に膨大な経済性をもっていることが判明しました。

風力エネルギーに関する法律

ニュージーランド政府の戦略的エネルギー目標は、その豊富なエネルギー資源をすべてのニュージーランド国民の利益にすることです。「ニュージーランド エネルギー戦略2011〜2021」と「ニュージーランド エネルギー効率化と省エネ戦略2011〜2016」により、ニュージーランド政府は、再生可能エネルギーによる発電(特に風力と地熱)にかなり多くの投資を見込むことを確認しています。このなかで、2025年までに、電力供給の安全保障を犠牲にすることなく、平均的な水文年で90%の電力が再生可能エネルギーで供給されることを見込んでいます。

ニュージーランド政府は風力エネルギーに直接的なインセンティブは与えないものの、広範囲な規制または非規制のメカニズムを通して業界の発展を促進しています。

風力発電所の計画書は資源管理法1991 (RMA:Resource Management Act 1991)を通じて資源開発許可を得なければなりません。RMAはニュージーランドの環境管理法令の基本となるものです。その目的は自然と物理的資源の持続可能な管理を促進することです。RMAは地域の意思決定者が再生可能エネルギーの利用と開発により利益が得られることを要件としています。2011年にニュージーランド政府は、RMAに基づいて再生可能エネルギーに関する国家政策を採用しました。これは再生可能エネルギーに関連する利益と関連する活動の国家的重要性がRMAに基づいた政策展開と合意形成プロセスにおいてより明確に認識されることを確認することがねらいです。また、ニュージーランド政府は国の重要事項に関連する風力発電所の計画書についての意思決定プロセスを簡潔にするRMAの改訂にとりかかっています。改訂の第2段階が現在進行中であり、インフラ規定を含むより幅広い資源管理の課題に対処しようとしています。

ニュージーランドの排出量取引スキーム(ETS: Emissions Trading Scheme)も発電の相対費用に影響を与えるため、風力発電を含む再生可能エネルギーの経済的な魅力に影響を与えています。発電市場に期待される投資は、ある程度ETSの影響を反映しています。ETSはいくつかの産業で企業活動の結果として排出される温室効果ガスに対し、削減義務を課しています。ETSはCO2換算1トンを排出単位とした取引をベースにしています。この単位は、ニュージーランド政府によって作成・分配され、エネルギー部門は2010年7月からこのスキームに参加しています。温室効果ガスを排出している電力会社を含むエネルギー部門の関係者は、毎年排出単位を購入するか、政府に委任しなければなりません。

風力エネルギープロジェクト

稼働している風力発電

ニュージーランドでは、2012年末時点で、16の風力発電所(風力発電機1機のみの立地を含む)が稼働しており、総設備容量は623MWとなっています。これらの風力発電所はニュージーランドの年間発電量の4.7%を供給しています。 

プロジェクト 場所 開発者 風力発電機の数 設備容量(MW)
1993 Brooklyn Turbine Wellington Meridian Energy 1 0.225
1996/2004 Hau Nui (ステージ1・ 2) Wairarapa Genesis Energy 15 8.7
1999/2004/2007 Tararua Manawatu TrustPower 134 161.0
2003 Gebbies Pass Canterbury Windflow NZ 1 0.5
2004 Te Apiti Manawatu Meridian Energy 55 90.8
2005 Southbridge Canterbury Energy3 1 0.1
2006/ 2008-2011 Te Rere Hau Manawatu New Zealand Windfarms 97 48.5
2007 White Hill Southland Meridian Energy 29 58.0
2009 Horseshoe Bend Central Otago Pioneer Generation 3 2.25
2009 West Wind Wellington Meridian Energy 62 142.6
2010 Weld Cone Marlborough Energy3 3 0.75
2010 Chatham Islands Chatham Islands CBD Energy / Chatham Islands Enterprise Trust 2 0.45
2011 Te Uku Waikato Meridian Energy 28 64.4
2011 Mahinerangi Clutha TrustPower 12 36.0
2011 Lulworth Marlborough Energy3 4 1.0
2011 Mt Stuart Clutha Pioneer Generation 9 7.65
2012年末合計 456 622.9 

計画中の風力発電

59.8MWのMill Creek ウィンド ファームは現在 Meridian Energy によりウェリントン地方で開発が進んでいます。26機の発電機があるこの風力発電所は2014年に稼働を予定しています。さらに、資源開発許可を取得して未着工の設備容量が約1446MWあります(すべての開発許可のあるプロジェクトが建設されるとは限りませんが)。Genesis Energyが計画したWairarapa地区のCastle Hillウィンドファームの858MWを含む、約1159MWの設備容量が資源開発の審査中となっている。

プロジェクト 場所 開発者 最大容量 (MW)
Awhitu Franklin Trustpower 18
Hauauru ma raki (Waikato Wind Farm) Waikato Contact Energy 504
Kaiwera Downs Southland TrustPower 240
Mt Cass Hurunui, MainPower 78
Project Central Wind Central North Island Meridian Energy 130
Taharoa Kawhia Taharoa C and PowerCoast 54
Taumatatotara Waitomo District Ventus 27
Titiokura Hawkes Bay Meridian 48
Turitea Manawatu Mighty River Power 180
Waitahora Wind Farm Hawkes Bay Contact Energy 156
Long Gully Wellington Windflow 12.5
許可された総計画容量 1,447.5
Flat Hill Marlborough Energy3 6.8
Castle Hill Wairarapa Genesis Energy 858
Puketoi Wairarapa Mighty River Power 159
Hurunui Hurunui Meridian Energy 75.9
Mt Munro Wairarapa Meridian Energy 60
審査中の総計画容量 1,159.7

参考情報

本記事はタニア・フッド(エネルギー効率化・省エネルギー機関 tania.hood@eeca.govt.nz)が執筆し、世界風力エネルギー協会発行の『Wind Energy International 2014/2015』所収の同記事が初載となっています。本書と世界風力エネルギー協会発行の書籍はこちらから注文できます。(英語)

元記事:Renewables International, “New Zealand’s Renewable Energy”(2015年4月8日)および ”New Zealand’s wind power, Part 2”(2015年4月)ISEPによる翻訳