スタートアップのソノモーターズが太陽光電気自動車で業界の巨人に挑む

エネルギー転換の進展の中で新たな機会が生まれ、さまざまなスタートアップが新たなビジネスモデルを構築し、産業構造を変革しつつあります。クリーンエナジーワイヤーのスタートアップインタビュー連載第6回「ソノモーターズ(Sono Motors)」の翻訳記事をお届けします。


わずか3年前にクラウドファンディングのキャンペーンで立ち上がったソノモーターズは、走行距離を伸ばすため、太陽光セルで覆われた電気自動車を開発しました。当初、同社は5,000台の予約を期待していましたが、すでに2倍となっています。自動車の生産は来年からはじまり、組み立てプロセスにおける炭素排出のすべてをオフセットすることを計画しています。

ソノモーターズのCEOで共同創業者のローリン・ハーン氏は、自動車産業とエネルギー分野の交わる領域でのビジネス機会と、持続可能な輸送システムに向けたゆるやかな進捗について、クリーンエナジーワイヤーに語りました。

企業概要

    • ミュンヒェンを拠点とするモビリティスタートアップであるソノモーターズは、2016年にクラウドファンディングのキャンペーンによって設立され、従業員数は約80名へと成長しています。
    • 同社の電気自動車「the Sion」は、10,000件の着手金支払い済み予約注文を集めています(当初目標の2倍)。Sionの走行距離は約250kmであり、車両の太陽光セルによって1日あたり34km伸ばすことができます。車両デザイン詳細のいくつかは、顧客コミュニティの投票によって決まります。
    • スウェーデンの自動車メーカーSAABがかつて生産していたプラントにあるナショナル・エレクトリックビークル・スウェーデン( National Electric Vehicle Sweden, NEVS)が、2020年後半からSionの生産を開始します。ソノモーターズは、今後8年間で260,000台を生産すると述べています。部品メーカーのコンチネンタル、エルリングクリンガー、ボッシュなどが開発パートナーに加わっています。
    • ソノモーターズは、Sionの製造プロセスにおけるすべての炭素排出をオフセットすると述べています。
    • 同社は、Sionは自動車ライドシェアリングのオプションと、自動車間で電力を共有する機能をモバイルアプリに統合する予定であると述べています。
    • Sionの価格は25,500ユーロです。同社によると、現在の予約の合計は、2億1,400万ユーロの売上に相当します。

なぜソノモーターズが重要なのか

    • ソノモーターズの事例は、eモビリティへの移行において、新しい企業がいかにして自動車市場に参入する固有の機会を獲得しているかを描いています。それは、電気自動車が従来の内燃機関エンジンよりもはるかに簡単に製造できることが背景にあります。また、同社の設立のきっかけは、クラウドファンディングキャンペーンの可能性を示唆しており、中小規模電気自動車に対する強力な需要が存在することを示しています。
    • 同時に、ソノモーターズの経験は、グローバルプレイヤーによって独占された競争の激しい自動車市場に参入する上での課題を明らかにしています:同社は製造の開始を延期してきました。また、予想よりもバッテリーコストが高まったことにより、当初の目標から大幅に価格を引き上げています。

ソノモーターズへのインタビュー

クリーンエナジーワイヤーは、ソノモーターズのCEOで共同創業者のローリン・ハーン氏にインタビューをおこないました。

―― クリーンエナジーワイヤー:輸送分野におけるエネルギー転換は、ソノモーターズのような企業が大手の競合他社と戦う上でどのような機会をもたらしていますか?

ローリン・ハーン:電気自動車は、自動車産業とエネルギー分野をつなぐブリッジです。エネルギー転換によって、新たなビジネス領域が両分野の境界に立ち上がっていて、人々のモビリティ需要の変化を感じ取って、エネルギー転換の課題を製品やサービスの機会へと翻訳する企業たちが進出しています。ソノモーターズは、新しい前向きなモビリティのコンセプトのもと、まさにここにポジションをもっています。はじめての太陽光電気自動車(SEV)シリーズである Sion は、電力と自動車とライドシェアリングを統合し、搭載されたソーラーセルによって1日当たり最大34kmの追加距離を提供します。太陽光の統合と双方向充電機能によって、Sionは充電インフラの一部にもなります。

―― ソノモーターズの現在の最大の課題は何でしょうか?次の大きなマイルストーンと長期的な計画について教えて下さい。

数日前、私たちは生産パートナーを発表しました。ナショナル・エレクトリックビークル・スウェーデン (NEVS)と共に、私たちは Sion をスウェーデンのトロルヘッタンで生産する予定です。次のステップとして、製造の準備をはじめます。現時点では、私たちは Sion の生産に集中しています。しかし、長期的には、私たちはモビリティとエネルギーサービスプロバイダーになることを考えています。

―― 輸送分野のエネルギー転換の進捗をどのように評価していますか?ドイツは適切な道筋に乗っているのでしょうか?

ドイツの人々は、なにかを変えなければならないことを理解しています。しかし、特にスカンジナビア諸国と比べると、ドイツはまだやらなければならない宿題があります。新しいサプライヤーの登場も含め、競争が増すことで自動車産業全体が行動しなければならないように圧力がかかり、電気モビリティが好まれるようになります。私たちほど首尾一貫してこのアプローチを追求する者はいないので、私たちはきわめて自信をもっています。数年後には、電気自動車の市場で双方向充電と太陽光の統合が成長することを期待しています。それこそが輸送分野のエネルギー革命を本当に推し進めるからです。

―― どのような政策が望ましいとお考えですか?

自然エネルギーの割合が増えるほど、電力系統での柔軟性の需要が高まります。系統を安定化させ続けるには早急に発電と消費のバランスをとる必要があります。エネルギー転換の成功にはそのような柔軟性が不可欠であり、双方向充電の電気自動車がこれに貢献します。エネルギー転換を可能にするため、将来の規制枠組みは、この膨大なポテンシャルを活用できるような方向で設計され、電気自動車のバッテリーは電力系統のバッファーとして利用できなければなりません。

―― ドイツのエネルギー関連スタートアップが置かれている環境をどのように評価していますか?

課題は多いと思います。しかし、私たちや他の人たちを怖がらせて追い払うようなものではありません。逆に、エネルギー業界と自動車業界の交点は、私たちのような企業に多大な機会をもたらしています。

インタビュー:ソーレン・アメラング(Sören Amelang)Clean Energy Wire特派員

元記事:Clean Energy Wire “Start-up Sono Motors challenges industry giants with PV-clad electric car” by Sören Amelang, May 8, 2019. ライセンス:“Creative Commons Attribution 4.0 International Licence (CC BY 4.0)” ISEPによる翻訳