ドイツがイギリスの電力の安定性を脅かすのか?

どうやらエネルギー転換の影響は誇張されているわけではないようです。ドイツの風力・太陽光発電の余剰に悩まされる国のリストに、ドイツとは直接電力のやりとりをしていないイギリスを加えてみましょう。

イギリス人ブロガーのロジャー・アンドリューズ氏は今月初め、大陸との連結によりイギリスの系統安定性が危険にさらされているという記事を書きました。電力需要が高まっている時に国外に電力が流出していることが主な原因であると指摘し、また、視覚的データによって説得力を増しています。

ドイツはアンドリューズ氏の記事の中心というよりは、むしろ通りすがりの被害者でしょう。記事は以下のようにはじまります:

… 2011年11月にイギリスからフランスおよびオランダへの電力輸出を引き起こしたのは(本当に貢献したかは不明だが) … 根本的な原因は、ドイツがフクシマ後に原子力発電を止めたことによりフランスへの電力輸出が途絶えた事である。

残念なことに、RTE(仏電力輸送ネットワーク)の商業電力取引に関するデータは2012年1月以降のものしかなく、アンドリューズの情報源が疑問視されます。唯一の情報源としては2011年11月14日の記事から、ドイツが「純輸入国」になるという「予測」がされていると、彼が読み取ったものが提示されています。驚いたことに、彼はこのデータの確認をしなかったことに加え、記事にはまさに48ものコメントが寄せられているにもかかわらず、間違いを指摘する読者もいません。そのため、このブログは、インターネットが近視眼的に同じ物事に賛同する人々のグループへと私たちを分断する良い例であると言えます。

データは以下の通りです:ドイツは2011年には電力純輸出国でした(アンドリューズ氏の予測は単純に間違っていたのです)。2012年はドイツの電力輸出の記録的な年となり、続く2013年、さらに2014年も記録的な年となりました。

続いてアンドリューズ氏は2月はじめの出来事に着目していますが、ここでもイギリスに関する分析データではなく、再び、今度はロイター通信社の予測を利用しています。通信社は「フランスは月曜日に初めてドイツよりイギリスから多く電力輸入するだろう」とし、仏エネルギー担当大臣エリック・ベッソン氏の引用までも用いています。アンドリューズ氏は、アイルランドを含むイギリスが冬のピーク需要時に3GW以上の電力を頻繁に輸出していたと主張しています。しかし、私たちは、全く同じ日に私が報道したデータから、ドイツからフランスへの電力輸出量が4〜5GWと連系の最高レベルに達したことを知っています。予想は再びはずれました。

たしかに、彼の記事は前週の2012年2月3日の金曜日に関するものでした。2012年2月6日の商業電力取引に関してRTEが伝えるべきことは以下の通りです:

RTE

RTE

確実にドイツはイギリスと比べ約2倍の電力を輸出しているように見えます。考えられる理由の1つとしては、CRE(仏電力規制委員会)によるデータにもあるように、格段に大きな接続容量かもしれません。

RTE

RTE

(RTEの示す2.8GWの取引可能容量と、ピーク時に発生した4〜5GWの取引量との食い違いに関しては調べていません。高圧以下の取引が上記の図表に示されていない可能性や、極端な寒さによってより多くの電力が送電された可能性はありますが不確かです。RTEはCREが示す輸出可能量より、ドイツからフランスへの電力輸出量を多く示していることも書き留めておきましょう – 2.4GWの送電線において2.8GW。)

これらは事実に基づくデータであり、不確かな予測ではないことは認めざるを得ません。しかしアンドリューズ氏はさらに続けます。2013年11、12月のイギリスが抱える問題に関して「事実、もしくはそうであると認められるドイツの電力不足が根本的な原因」だと説明しました。今度は「そうであると認められる」と抜け目のないよう記載されていますが、予測やデータなどは提示されていません。記事は、ドイツがヨーロッパの系統に大混乱をもたらしていると疑わない読者に向けられているに過ぎません。同2ヶ月間に関するRTEのデータは以下の通りです:

RTE

RTE

どうやらこの間ドイツはイギリスに比べ4倍近くの電力をフランスに輸出しているようです。それどころか、この期間ではドイツがフランスへの最大の輸出国なのです。

まさに素晴らしい戦略です − 目的にかなうデータは利用し、そうでない場合は同じ近視眼的な人々が信じている想定を利用するのです。この戦略のもっとも素晴らしい点は、それがおそらく意図的に行われていないところです;アンドリューズ氏は彼自身、確かなデータから偽りの予測へ切り替えたことに気づいていないのではないでしょうか。驚くべきは彼の読者も誰一人そのことに気づかなかったことでしょう。

ブログの著者は言葉による誘導に不平を述べたがりますが、近視眼的であることの方が重大な問題だと思います。それらの違いは、誘導は意図的であるのに対して近視眼は無意識的であることです。大したバブル(幻想)、いや、ブログだよロジャー。

クレイグ・モリス@PPchef

元記事:Renewables International, Does Germany endanger UK power reliability?(2015年1月15日)ISEPによる翻訳